
石村 貴博 (イシムラ タカヒロ)
人文社会科学系 日本語・日本文学研究講座 中国古典学分野 | 講師 |
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研究活動情報
論文
- 劉禹錫「有所嗟」二首考ー『源氏物語』葵巻の引用を契機としてー
2025年03月, 石村貴博, 単著, 学芸 国語国文学, 東京学芸大学国語国文学会, 57号, 研究論文(学術雑誌), 劉禹錫「有所嗟」二首の悼む対象について、先行研究は⑴「劉禹錫の愛人」⑵「劉禹錫の側室」⑶「劉禹錫の亡妻」⑷「劉禹錫の友人李程の後房(妾)」と見解が分かれていた。劉禹錫の伝記資料や、当時友人の妓女を悼む詩がよく作られた背景をふまえ、⑷が妥当と結論付けた。ただし後房(妾)ではなく家妓としたほうがよいとした。
また、「有所嗟」二首其一の結句「為雨為雲今不知」は『源氏物語』葵巻に引用されており、宋玉「高唐賦」(『文選』巻19)の典故に基づいて、「為雨為雲」を男女の契りととらえる先行研究が多かった。しかし「為雨為雲」は「雲雨」などとともに女性が去り行く(特に死去)表現にも用いられ、魂の行方を思案する表現とともに用いられることもある。そのため、「為雨為雲今不知」は男女の契りではなく、女性の死去を表す表現ととらえたほうがよいと結論付けた。 - 独孤及「弔道殣文並序」考
2008年12月, 石村貴博, 単著, 専修人文論集, 専修人文学会, 82, 盛唐の文人・独孤及の弔文を分析した論文。中国の弔文は『楚辞』の影響を受けた文体だが、本作品は『詩経』の影響下にある特異な作品であることを指摘し、その制作背景について考察した。 - 四部叢刊本『劉夢得文集』の作品配列をめぐって
2007年10月, 単著, 中唐文学会報, 中唐文学会, 14, 研究論文(学術雑誌), 中唐の詩人・劉禹錫の作品集『劉夢得文集』を分析した論文。作品配列を手がかりに、同書が『劉賓客文集』をもとに配列しなおしたものであることを明らかにした。 - 劉禹錫令狐楚交遊新考
2007年10月, 石村貴博, 単著, 中国古典研究, 中国古典学会, 51, 中唐の詩人・劉禹錫と令狐楚の交遊を分析した論文。先行研究では劉禹錫が令狐楚に推挽を求める狙いがあるとされていたが、劉禹錫にその意図がなかったことを明らかにした。 - 唐代弔文小考―陳子昂と張説を軸として―
2004年12月, 石村貴博, 単著, 『國學院中国学会報』, 國學院大學中国学会, 50, 初唐の文学者・陳子昂と張説の弔文を分析した論文。二人が従来の弔文と異なるものを書いた背景を考察した。