HIKITA Masaaki

Humanities and Social Sciences Division Japanese Linguistics and Literature Japanese Linguistics and LiteratureProfessor

Basic information

  • Gender

    Male

Other affiliation

  • Tokyo Gakugei University, Humanities and Social Sciences DivisionJapanese Language and Japanese Literature 日本語学・日本文学分野, Professor
  • Tokyo Gakugei University, Japanese, Professor

Degree

  • a doctor of literature

Licenses and Qualifications

  • 国語科専修免許(中専第10081号/高専第10089号)
    Mar. 1998

Research Projects

  • 科研費基盤研究(C)
    『現代詩手帖』および思潮社を中心とする1960年代日本現代詩研究, Apr. 2022 - Mar. 2025, Competitive research funding

Books and Other Publications

  • 12年間の「文学」の学び
    04 Mar. 2023, 東京学芸大学国語教育学会, コンテクスト, 東洋館出版社, 987-4-491-05111-6
  • 日本文学の見取り図
    25 Feb. 2022, 千葉一幹、西川貴子、松田浩、中丸貴史 編著, 萩原朔太郎, ミネルヴァ書房, 978-4-623-09284-0
  • 日本の文学者36人の肖像 下
    20 Dec. 2021, 宮川健郎 編集, 中原中也 寺山修司 茨木のり子 吉野弘, あすなろ書房, 978-4-7515-3048-1
  • 日本の文学者36人の肖像 上
    20 Dec. 2021, 宮川健郎 編集, 萩原朔太郎, あすなろ書房, 978-4-7515-3047-4
  • Introduction to Literary Theory:Theory ,Literature and National Language Course 
    20 Nov. 2021, MASAAKI HIKITA, ひつじ書房, 978-4-8234-1104-5, 高校生の現代文が、文学的文章と論理的文章に「分離」されることとなった。この政策が単なる「分離」ではなく「隔離」であることは明らかだが、我々はこの「分離」を逆手にとって、新たな国語教育の可能性を模索してゆかねばならない。文学理論と文学教育をどう切り結ぶのか。そして、文学的文章と論理的文章の教育を有機的に組み合わせてゆくには、何が必要なのか。専門的知から様々な領域に「接続」するための紐帯を提供する、新しい文学理論入門。
  • Analysis of Contenmporary Novels by Akutagawa Prizx-Winnning Authors Focusing on 'Trans' and 'Identity'
    31 May 2021, MASAAKI HIKITA, ひつじ書房, 978-4-8234-1094-9, 「自己」が近代文学が拘り続けたテーマであることは言を俟たないが、現代文学は統一され安定した「自己」そのものへの不信から始まっている。ともに時空を「移動」し続ける存在としての読者とテクストが出会う結節点。そこから変容しながらも繰り返し立ち上がってくる主体こそが現代文学が語る「自己」にほかならない。本書は「自己」と「移動」に着目し芥川賞受賞作家のテクストから平成という時代の諸相を読み込む試みである。
  • 国語教科書の定番教材を検討する! ―教科書でつくられる日本人の教養
    Jan. 2021, 石井正己(編), 「26.こころ ■夏目漱石■―平凡な男の死を特別に見せるレトリック」P158―P163, 三弥井書店
  • 国語教科書の定番教材を検討する!―教科書でつくられる日本人の教養―
    20 Jan. 2021, 石井正己編著, 三弥井書店, 978-4-8382-3375-5
  • コレクション現代詩誌20 戦後詩の推進者Ⅴ
    25 Dec. 2019, ゆまに書房, 978-4-8433-5086-7
  • コレクション現代詩誌18 戦後詩の推進者Ⅲ
    25 Dec. 2019, ゆまに書房, 978-4-8433-5084-3
  • コレクション現代詩誌17 戦後詩の推進者Ⅱ
    25 Dec. 2019, ゆまに書房, 978-4-8433-5083-6
  • コレクション現代詩誌16 戦後詩の推進者Ⅰ
    25 Dec. 2019, 解題, ゆまに書房, 978-4-8433-5082-9
  • 建築の近代文学誌
    Nov. 2018, 美しい「光」が差し込む場所―佐藤春夫「美しい町」をめぐって, 勉誠出版, 佐藤春夫「美しい町」をめぐって、未来派芸術運動と電灯による生活の変化、当時の建築や都市論の諸相などが様々な形で流れ込むテクストとして読み替えたもの。
  • コレクション現代詩誌19 戦後詩の推進者Ⅳ
    25 Dec. 2015, ゆまに書房, 978-4-8433-5085-0
  • コレクションモダン都市文化80 出版文化
    Jul. 2012, ゆまに書房, 大正から昭和初期、モダニズムと大衆文化の時代―。新聞や雑誌、ラジオ、レコードなどのメディアを介して、文学とスポーツはそれぞれの最前線で交錯した。レトリックと身体が衝突し、神話とアスリートが握手をかわす“文学とスポーツのアリーナ”を物語や表象などから多面的に分析する。現代に続くスポーツをめぐる文化の配置図のルーツは、ここにこそある。
  • シンポジウム アウトサイダーの〈道化/ファルス〉
    Aug. 2011, パネリスト *疋田雅昭・権田浩美 司会 中原豊題, 角川書店(東京)
  • スポーツする文学 ―1920~30年代の文化詩学―
    Jun. 2009, 疋田雅昭、日比嘉高、日高佳紀 共同編集, 共同編集 はじめに、おわりに、関連年表 収録単著論文 執筆しない文学者, 青弓社(東京), 大正から昭和初期、モダニズムと大衆文化の時代―。新聞や雑誌、ラジオ、レコードなどのメディアを介して、文学とスポーツはそれぞれの最前線で交錯した。レトリックと身体が衝突し、神話とアスリートが握手をかわす“文学とスポーツのアリーナ”を物語や表象などから多面的に分析する。現代に続くスポーツをめぐる文化の配置図のルーツは、ここにこそある。
  • 接続する中也
    May 2005, 東京都, 中也詩をテクストとして従来の作家論から切断する、あるいは非文学的領域と接続させる。中也詩とそれをめぐる様々な事象との接続、切断とを繰り返し「文」学の内包する自己矛盾、あるいは「文学」学ともいうべき「文学」そのものへの切開を試みる。中也詩を通して「文学」の内部にまで接続の触手をのばしていく。

Papers

  • Framing and “Self-Representation” : Reexamination of the Logical Structure of Takaaki Yoshimoto’s “What Is Beauty for Language?”
    20 Mar. 2025, HIKITA MASAAKI, only, 武蔵野大学日本文学研究所紀要, 武蔵野大学日本文学研究所, 13
  • 座談会「音」と文学 ―文学研究とサウンド・スタディーズとの対話―
    Mar. 2024, joint, 昭和文学研究, 88
  • 「寓喩」の原エクリチュール――小島信夫「島」をめぐって
    Mar. 2024, 「寓喩」の原エクリチュール――小島信夫「島」をめぐって, only, 立教大学日本文学, 131
  • 「家父長」あるいは「恋愛」という困難――小島信夫「裁判」をめぐって
    Mar. 2024, only, 武蔵野大学日本文学研究所紀要, 12
  • 自らの言葉を「解釈」すること あるいは 「他者」の希求
    Jan. 2024, only, 東京学芸大学紀要 人文社会科学系, 75
  • 「手帖」に書き込まれた「発見!」――伊達得夫と小田久郎
    Aug. 2023, only, ユリイカ
  • 小島の「ルーツ」を「笑う」あるいは「テクスト」が「笑う」― 初期短篇集から戦争短篇集へ
    Mar. 2023, 疋田雅昭, only, 武蔵野大学日本文学研究所紀要, 11, Research paper (scientific journal)
  • 「菅野満子の手紙」は正しく「誤配」される
    Mar. 2023, 疋田雅昭, only, 立教大学日本文学, 129, Research paper (scientific journal)
  • 再帰という寓話 ―小島信夫「寓話」を読む
    Mar. 2023, 疋田雅昭, only, 明星大学全学共通教育研究紀要, 4
  • 剥き出しのアレゴリー ―安部公房「デンドロカカリヤ」をよむとは――
    Nov. 2022, 疋田雅昭, only, 東京学芸大学紀要 人文社会科学系, 74, Research paper (scientific journal)
  • 「外部」を否定すること―「各務原・名古屋・国立」を読む
    Jul. 2022, 疋田雅昭, only, 立教大学日本学研究所年報, 21
  • 「内部」と「外部」の溶解――小島信夫「菅野満子の手紙」をめぐって』
    Mar. 2022, MASAAKI HIKITA, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 127, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 武蔵野大学 日本文学研究所紀要
    Mar. 2022, MASAAKI HIKITA, only, 武蔵野大学 日本文学研究所紀要, 武蔵野大学 日本文学研究所, 10, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 「女流」とは誰か、何か ――小島信夫「女流」をめぐって
    Mar. 2022, MASAAKI HIKITA, only, 明星大学全学共通教育研究紀要, 明星大学全学共通教育研部, 4, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • テクストは響き合う ――小島信夫「残光」をめぐって――
    Jan. 2022, only, 東京学芸大学紀要 人文社会科学系Ⅰ, 73, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 公園で啼くあるいは「公園」を笑う―小島信夫の初期小説について
    Oct. 2021, MASAAKI HIKITA, only, 立教大学日本学研究所年報, 立教大学日本学研究所, 20, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • アダプテーション理論と教育の紐帯
    Mar. 2021, 疋田雅昭, only, 非言語教材を用いた国語教育を活性化するための実践的研究, (MISC) Introduction and explanation (others)
  • アダプテーション理論の活用を通した文学教育—発達段階の系統性に配慮した思考力の育成—
    Mar. 2021, 大澤千恵子, joint, 非言語教材を用いた国語教育を活性化すつための実践的研究, 東京学芸大学教育実践推進本部「特別研究開発プロジェクト」
  • ガブリエルのホルンは小島信夫を呼び起こす――小島信夫「別れる理由」論
    Mar. 2021, only, 武蔵野大学研究所紀要, 9, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 細分化してゆく力 と 統合してゆく力――小島信夫「別れる理由」論序説
    Mar. 2021, only, 明星大学全学共通教育研究紀要, 3, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 「記憶」を「小説」にする力――小島信夫「うるわしき日々」をよむために
    Mar. 2021, 疋田雅昭, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 125, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 妻の死に至る「病」あるいは「生き」続ける家族――小島信夫「抱擁家族」論序説――
    Feb. 2021, 疋田雅昭, only, 東京学芸大学紀要 人文社会学系Ⅰ, 72
  • 「異界」としての吃音学院 あるいは 「幻想」としての吃音
    Oct. 2020, 疋田雅昭, only, 立教大学日本学研究所年報, 立教大学日本学研究所, 19, 2188-7993
  • 内面化と二重化 ――小島信夫「アメリカンスクール」論
    20 Mar. 2020, 疋田雅昭, only, 明星大学全学共通教育 研究紀要, 2, Research paper (bulletin of university, research institution)
  • 「ルーツ」のルーツをめぐる物語――小島信夫「美濃」をよむ「前書」
    01 Mar. 2020, 疋田雅昭, only, 立教大学日本文学, 123, Research paper (bulletin of university, research institution), 小島信夫「美濃」をよむために、同時代的な「ルーツ」ブームをさぐることによって、「美濃」をどういった前提でよむことが可能なのかを論じ、その序章の分析を試みたもの。
  • 反転する「美濃」 あるいは 逆照射される「前書」 ――小島信夫『美濃』をよむ――
    20 Feb. 2020, 疋田雅昭, only, 武蔵野大学 日本文学研究所紀要, 武蔵野大学 日本文学研究所, 8, Research paper (bulletin of university, research institution), 小島信夫「美濃」の「前書」の読解をふまえた上で、本編ともいえる「美濃」がどういった構造で「前書」あるいは同時代的な言説に対応(対抗)しているかを論じたもの。
  • 自己規定する「前書」あるいは辿り着かない「ルーツ」――小島信夫「美濃」論
    01 Feb. 2020, 疋田雅昭, only, KYORITSU REVIEW, 共立女子大学大學院文芸学研究科, 48, Research paper (bulletin of university, research institution), 小島信夫の「美濃」の「前書」に相当する部分を精読することによって、全体に対する意義および、同時代に対する「ルーツ」批判がどのように機能しているのかを明らかにしたもの。
  • 近代の飛躍あるいは近代的主体の終焉―吉田修一「パーク・ライフ」論」
    01 Feb. 2020, 疋田雅昭, joint, 東京学芸大学紀要 人文学篇, 東京大学芸大学, 72, 吉田修一「パーク・ライフ」は、後に映画化された作品群などからみられるものとは異なる印象を与える作品であるが、主体と周囲との関係性の問題に注目すると、
    吉田文学の全体像を考える上で非常に重要な観点が確立されたテクストである。自らの身体内部と外部の関係が、そのまま自らの居る公園と相似的に重なってゆく構
    造の裡で、日々の労働の内部に閉じ込められた主体の回復はいかに可能かという現代的テーマを追求した作品であることを論じた。
  • 吉本詩の原理 あるいは 論理からみた中也
    01 Sep. 2019, 疋田雅昭, only, 中原中也研究 24号, 中原中也の会, Research paper (scientific journal), 中也の表現原理を、吉本隆明の詩論及び詩の実践と比較してみることによって、両者の「空」や即物表現に対する傾向を見出そうとしたもの
  • ――諏訪哲史『アサッテの人』をよむ――
    Mar. 2019, only, 明星大学全学共通教育部, 1
  • 内包された「淫靡」あるいは溶解する「夫婦」―古井由吉「妻隠」をよむ
    Jan. 2019, only, KYORITSU REVIEW, 共立女子大学大学院文芸学研究科, 47, 古井由吉の「妻隠」を、当時の若者労働者と新興ファミーリー層との対立図式で読み替え、そこに「性」のキーワードを組み込むことで、1970年代の諸問題を重層的かつ幻想的に描いたテクストであると再評価しようとするともの。
  • 労働的不安の諸相――小山田浩子「工場」をめぐって
    Jan. 2019, only, 東京学芸大学紀要 人文社会科学系 Ⅰ, 70, 小山田浩子の「工場」は、町を経済的に支配する巨大工場とそこで暮らす人々と動物を描いた小説である。本論は、これは内部/外部、生態系、分類といった補助線で、正規/非正規の労働をめぐる諸問題を扱ったテクストとして再読しようとする試みである。
  • 日常的不安の諸相―小山田浩子「穴」論
    Jul. 2018, only, 立教大学 日本学研究所年報, 立教大学日本学研究所, 17
  • 逃走あるいは溶解する境界
    ——笙野頼子「なにもしていない」をめぐって
    Mar. 2018, only, 明星大学 研究紀要 人文学部, 明星大学人文学部, 54, 笙野頼子の「なにもしていない」を、天皇のテレビ報道と語り手の伊勢への帰郷という出来事を重ねた、天皇と家族制度、あるいは、性と接触、女性の社会的位置をめぐる物語と捉え、そのテクストの力学を明らかにしたもの。
  • 移動(スリップ)する時空 あるいは 残された断片―笙野頼子『タイムスリプコンビナート』論―
    Mar. 2018, only, 武蔵野大学日本文学研究所紀要, 武蔵野大学 文学部 日本文学研究所, 5, 笙野頼子の「タイムスリップ痕ブナート」を単なる時代表象の反映ではなく、記憶と記録をめぐるポストモダン的な様相を逆手にとった実験的な小説であったことを明らかにしようとした試み。
  • 「倒錯」と「顛倒」の連鎖
    ――笙野頼子「二百回忌」をめぐって
    Mar. 2018, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 119, 笙野頼子の「二百回忌」を、顚倒の連鎖というキーワードで読み進めることによって、テクストの構造を明らかにするとともに、マジックリアリズムにおける「リアル」という側面を同時代表象との関連で考えようとしたもの。
  • 言葉の「逃走」と言葉からの「逃走」 ――中上健次「十九歳の地図」をめぐって――
    Jan. 2018, only, 東京学芸大学紀要 人文社会科学系Ⅰ, 東京学芸大学, 69, 中上健次の「十九歳の地図」を、新聞奨学生という問題から同時代の諸相に置き直してみると同時に、「移動」と「主体」という問題に即してテクストを捉え直し、中上がその文学的出発点において何を措定していたのかを探究しようとする試み。
  • 〈ネタ〉と〈ベタ〉の往還 ――三島のスポーツ言説文法という視座――
    Apr. 2017, only, 三島由紀夫研究 17号, 鼎書房, 17, 三島由紀夫のスポーツや身体観について、主として東京オリンピックにおける諸氏との言説空間に置き直してみることにより、その独特の諸相を検討し、その観点から「太陽と鉄」を読み直す端緒を見出そうとしたもの。
  • 「文学教育」と「文学理論」の接続という諸問題
    Mar. 2017, only, 国語科教育における日本語学・日本文学の今日的課題, 日本語・日本文学研究講座, 文学研究の「理論」や「手法」が教育現場に普及してゆく際の問題点、特に「多様性」教育について「テクスト」と「語り手」の観点から考察した。
  • 「記憶」と「思い出」の間に――青山七恵「ひとり日和」をめぐって
    Jan. 2017, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 117, 青山七恵の「ひとり日和」を、上京という大きな移動、鉄道による日々の移動と母親による中国への移動。さらには、移動しない同居者といった「移動」をテーマに読み解き、アイデンティティの構築と「移動」という観点から小説の読み直しをせまったもの。
  • クラインは自ら壺を割るか ――吉本隆明『固有時との対話』を読む
    Sep. 2016, only, 昭和文学研究, 昭和文学会, 73, 吉本隆明の第一詩集である「固有時との対話」を、「固有時」の理解と「建築」の文脈、散文詩的構造の需要という枠組みで見直すことにより、吉本の出発点として如何なる読みが可能となるか、その可能性を模索したもの。
  • 「見えないもの」が見せてくれるもの ――長嶋有「猛スピードで母は」論
    Aug. 2016, only, 立教大学日本学研究所研究年報 第14・15号, 立教大学日本学研究所, 第14・15号, 長嶋有「猛スピードで母は」を対象に、当時の北海道のテレビ需要の問題や、小学生の「鍵っ子」問題を反映した物語として、作品を読み返し、そして三回に渡る「霧」の表象によって同時代的な情報をたくみに取り込みながらも、ある種の普遍的な枠組みを提示した物語であることを論じたもの。
  • 「円環」からの脱出あるいは脱出のための「転位」 ――吉本隆明『転位のための十篇を読む①
    May 2016, only, 『るる』3号 , 現代詩/試論研究会, 3, 吉本隆明の第二詩集を精読する試み。前半の詩篇を「転位」と「転移」という語の重なりから、精神分析的な読み方を導入し、いかに社会的な関心へ軸を移していったかを考察している。
  • 他者の居ないセカイ あるいは永遠に円環する物語
     ――松浦寿輝「花腐し」をめぐって
    Mar. 2016, only, 武蔵野大学日本文学研究所紀要, 武蔵野大学日本文学研究所, 3, 松浦寿輝「花腐し」を、その循環を軸とした構造性を明らかにした上で、同時代の大久保表象、合法ドラックの問題、黎明期のネット情報等を鑑みて読解しようとする試み。
  • Line of sight of the crossong or the line of the occupation --Nanae Aoyama's "Madono Akari"--
    Mar. 2016, only, RESARCH BULLETIN of MEISE UNIVERSITY, 明星大学人文学部
  • The "Confession" Which Has No Address:Okidematsu by Akiko Itoyama
    Jan. 2016, only, Bulletin of Tokyo Gakugei University Division of Humanities and Social Science Ⅰ, 投稿学芸大学, 67, 絲山秋子「沖で待つ」を、時代の痕跡の記録として読むこと、さらには記憶・記録をめぐる先行論と接続することにより、従来の叙情的な読解とは異なる位相のテクストとして再評価することを目指したもの。
  • 因果の呪縛―丸谷才一「樹影譚」を視座に―
    Mar. 2015, only, 明星大学研究紀要 人文学部・日本文化学科, 明星大学, 23, 丸谷才一「樹影譚」を、単なる入れ子状の枠小説という読解から、原因結果をめぐる因果論的思考を問題にした物語であると読み替え、私小説にある作家と作品の間にある自明性を逆説的にあぶり出すテクストであると分析したもの。
  • 記号文化に外部はあり得たのか―藤原智美「運転士」論―
    Feb. 2015, only, 長野県短期大学紀要, 長野県短期大学, 69, 藤原智美の「運転士」は、全体の構造が精神分析的な枠組みを有している。その構造の指摘はたやすいが、本論で問題にしたいのは、その中で本テクストが記号と内部/外部という問題を焦点化していることである。また、テクストの細部を比喩的な連鎖で接続している点も注目に値する。その様な観点から、80年代の思想シーンを象徴しているテクストとして「運転士」を検討してみた。
  • 錯綜する境界線―多和田葉子「ペルソナ」論―
    Jan. 2015, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 113, 多和田葉子の「ペルソナ」は従来、言語の問題をめぐる小説として読解されてきた。しかしながら、本テクストに存在する「境界」の問題はもっと多様であり、言語に加え、ジェンダーの問題や国家(国民)性の問題など補助線をひくことにより可視化出来るものが無数にある豊穣なテクストであると言える。こうしたテクストの豊穣性を、比喩機能の連鎖という観点でよみといた試み。
  • 欲望する家族という悲喜劇 ―小島信夫「馬」論―
    Feb. 2014, only, 長野県短期大学紀要, 長野県短期大学, 68, 小島信夫の「馬」を朝鮮の問題や戦後のニューファミリーの問題など時代の痕跡を強くとどめるテクストとして読み直し、さらに、その構造性を整理、分析したもの。
  • 言葉・アイデンティティ・他者 ――赤染晶子「乙女の密告」論
    Jan. 2014, only, 立教大学日本文学, 立教大学日本文学会, 111, 赤染晶子の「乙女の密告」を記号という問題の枠組みを利用しながら、自分と所属する場所や位置とアイデンティティの相克をめぐる物語として読み直し、「女子大生」と「アンネ」という選評で批判された両者の比喩関係を再評価しようとするもの。
  • 再帰する偶然性 安岡章太郎『ガラスの靴』論
    Jan. 2013, only, 明星大学研究紀要 人文学部, 明星大学人文学部, 49, 安岡章太郎の「ガラスの靴」をめぐって、同時代の電話回線のインフラ機能、さらには、制度化されつつあった夏期休暇制度の状況を踏まえて、当時の政治的文脈を浮かび上がらせようとする試み。
  • 政治と読むこと或いは人物に寄り添うということ ―楊逸『ワンちゃん』をめぐって
    Dec. 2012, only, 立教大学日本学研究所年報, 立教大学日本学研究所, 9, 社会・政治的状況または作者の言葉の問題を考えることに終始してきた、楊逸『ワンちゃん』をあえて、構造的な読み方に徹底して読解することによって、作家ではなく小説自体が持つ「政治性」を明らかに仕様とする試み。
  • シンポジウム アウトサイダーの〈道化/ファルス〉
     パネリスト 疋田雅昭・権田浩美 司会 中原豊題
    Aug. 2011, only, 中原中也研究, 16, 中原中也の道化調の詩歌について。主として安吾との比較によって中也の特質を考えてみた。前年のシンポジウムの記録。
  • 絶え間ない希求と断絶の間に―コミュニケーション論としての尾形亀之助の可能性―
    Mar. 2010, only, 日本現代詩歌研究, 日本現代詩歌文学館, 9, 尾形亀之助の詩は、従来日常の生活を切り取っただけの意味が明瞭なだけの断片だと解釈されざる得ない研究状況であったが、本論ではその詩的可能性をコミュニケーション論として再考している。具体的には、詩人と読者の間にある意味伝達は失効させず、情緒や詩的効果を失効させることにより、ある種のコミュニケーションの断絶を逆説的に伝達しようとした亀之助の詩業を明らかにした。